2017年4月9日日曜日

熊本派遣ボランティア報告

経法2年の齋藤杏奈さん
(北星女子高校出身,2016年入学)が,
春休みを利用して,
昨年,地震被害を受けた熊本に,
震災復旧のボランティアに行ってきました。

齋藤さんが,ボランティアの様子を報告してくれました。

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派遣期間:2017210日~215日(移動日を含む。
受入れ先:阿蘇YMCA

 2017年3月、北星ネットから6人代表して熊本の災害ボランティアに参加しました。
皆さんは「ボランティアをする意味は何か?」自分の中で答えが明確ですか?
私は、熊本に行って答えが見つかりました。それは「してあげる。」のではなく、「させて戴いた。」ということです。現地に行き、震災について考え沢山学び、もどかしさを感じながら帰ってきました。


1日目の活動は、他の団体が運営しているボランティアに参加してきました。座間市から来た団体で、仮設住宅に住んでいる人にその場で作ったタイ焼きを配る活動でした。タイ焼きを配られた人々の中には、手を合わせている人がいました。その光景を見たとき、自分が普段の食事前に手を合わせてから食べる想いとは違うのだと気が付きました。自分は、目の前にある食事に早く食べたく、何も考えずに手を合わせてから食べています。でも被災者の方々が手を合わせる想いは、「感謝」でした。タイ焼きを食べられる感謝でしょうか?この活動を行っている団体に感謝でしょうか?被災者にしか分からない想いが、そこに詰まっていました。今まで仮設住宅の生活を身近で感じることが無かったので、住宅地の雰囲気を感じ、仮設住宅に住んでいる子供達とも交流することが出来ました。子供達に学校が楽しいかと聞くと、「楽しい。」と答えてくれて、日常生活の様子を聞くことが出来ました。このような活動は、小さな事でも被災者にとって元気になってもられる大事な活動となってきます。



その後は、一番被害の大きかった阿蘇大橋跡をみてきました。ここに来る間のその景色は地震で崩壊した家やお墓など地震当時のそのままでした。人が住んでいる気配は無く、時間が当時のままに止まっていました。震災は一瞬にして人の財産を、大切な人の命を奪う恐ろしい災害と、現地で体感し、亡くなられた人を救うことが出来なかった悔しさなど色んな感情を感じ尽くしてきました。
フィールドワークは、現地に行って五感で感じて、震災について学ぶ機会を自分に与えられます。小学校の近くに地震によって出来た大きな断層に行きました。断層によって出来た上下の差が自分の身長を超え、悲惨な景色に地震の揺れの激しさを物語っていました。

2日目からは、家屋の解体作業を行いました。被災した家は解体できる家と解体出来ない家があります。今回は震災当時にそこに人が住んでいなかった為、公費で解体することが出来ない家屋の解体の手伝いをしました。内容は、ガレキの仕分け、ドラム缶で木を燃す、屋根の瓦取り等しました。重機で壊して出たガレキを仕分け、部屋の中の家具を捨てるのですがタンスの中を開けると、そこには住んでいた人の生活感が溢れていました。アルバム写真が出てきて見ると、家族写真や赤ちゃんの頃の写真が出てきて、自分が子供の頃の写真を見ているのと同じように、そこに住んでいる人も同じであったのだということを思うと、解体の了承得ても住んでいた人の家を壊すのは、心が痛みます。
その後、震災で池が汚れた神社と鳥居が壊れそのままになっている神社の二カ所に行ってきました。最初の神社は、ボランティアによって池が綺麗にされていましたが二カ所目の神社は、まだ復興されていませんでした。観光地に行き、阿蘇の参勤交代で使用された道に行ってきました。ちょうど雨がやさしく降り綺麗な景色でした。

 4日目は、家屋の解体作業が最終日でした。最後まで手伝えず、途中で終わってしまったのが、心残りでした。3日間共に解体作業を行ってきたボランティアの人は、「人手が足りない。」と言っていた事を覚えていて、ボランティアが足りていないのに、北海道に帰ってしまって良いのか心苦しかったです。1つの家屋を全て終えるのに一ヶ月以上かかると聞き、それでも他家も解体しなければならないと思うと、復興に何年もかかるものだと思いました。

その後は、阿蘇の一番高い山である大観峰に行きました。天気が良く、ほんのり暖かみのある気温、肌に吸い付く湿度、黄金に光る夕日がとても美しかったです。まるで、ここが天国にいるような現実なのか不思議でした。ボランティアとは関係ない事ですが美しい景色が見られました。







<派遣全体を通して>
今回、熊本に行って短い期間で沢山のことを学び帰ってきました。解体作業で分かったことは、「ボランティアをする意味は何か?」です。派遣前は「何かしたい。」「被災者の方々に役に立ちたい。助けてあげたい。」その気持ちでしたが、実際ボランティアを終えて、私の感じたことは、「してあげたのではなく、させて戴いた。」そして自分を育ててもらった.ということでした。させて戴いたことから学ぶことばかりでした。まだまだ、被災復興が続いています。地道な作業でもボランティアによって復興が進んでいるということ。一人でもボランティアをしてくれる事の意味がどれだけ被災地に影響を与えているか知ってもらいたいです。
少しでも興味を持っている方、一度被災地に行ってみませんか?


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とっても良い経験をしてきたようですね。
ボランティアに行って,感じたことを,
学科の皆にも伝えて欲しいです。

 経法でも震災復旧・復興を研究している先生が
 何人かいます(僕もそうですが)。
 現場を観ることの大切さを,改めて感じました。
 齋藤さん,ありがとうございます♥

4月19日(水)
チャペルタイム(12時10分~40分)で,
「熊本の今とこれから」というテーマで,
今回のボランティアの報告会が行われます。
もちろん,齋藤さんも登場。
経法の学生たち,是非,聴きに行ってください!

(K.A.)